同じ職場で働いているセレニーさんとレスリーさんの通っている日本語学校の修了式と詩の朗読がカリで行われるということで、カリまで一緒に連れてってもらいました。カリは国内でボゴタとメデジンに次いで3番目に大きな町で、サルサダンスで有名です。今回は移動費の一番安いバスで行ったのですが、片道12時間の長丁場でした。アンデス山脈の峠をいくつも越え、標高2,600メートルのボゴタから1,600メートル以上下っていく山越えルートでした。
ボゴタのバスターミナルの雰囲気は日本のものとあまり変わりませんでした。三連休が始まる前日の夜だったこともあり、様々な場所に向かうバスや人々が沢山集まっていました。乗るはずだったバスの到着は1時間遅れましたが、出発までの間エンパナーダを食べて長旅に向けた腹ごしらえを済ませました。夜行バスだったので景色はあまり堪能できませんでしたが、よく寝られたおかげか、それほど長く感じませんでした。翌朝の7時頃にカリに到着し、ホームステイを受け入れてくれたセレニーさんの親戚の家に向かいました。
セレニーさんとレスリーさんの詩の朗読を観に、午後はカリの中心街まで行きました。朗読の内容は谷川俊太郎の『春に』で、私にも馴染みのある詩でした。朗読の内容は日本語の学習レベルによって異なっており、カリやコロンビアの内容を話している人もいれば、日本の歴史や日本語の魅力などの発展的な内容について話している方もいらっしゃいました。中でも仮面ライダーなどの特撮とハリウッド映画の比較をされていた方と昨年残念ながら亡くなってしまったお父さんについてのスピーチをされていた方は日本人かと見紛う程のレベルで、日本に一度も行ったことがないにも関わらずここまで上達出来るということに素直に感動し、同じく外国語を勉強する立場として見習いたいと心から思いました。
同日は校長先生の退任式もあり、初めてお会いしたにも関わらず生徒や先生方から非常に愛されていた先生だったんだということが伝わってきました。
私達は日本語学校を後にして、疲れていたこともあり、Choladoというかき氷のようなスイーツを頂きました。Chontaduro, Lulo, Guanábanaなど聞いたことも見たこともないようなフルーツを美味しくいただきました。
カリで有名なサルサを経験するために、サルサクラブにも足を運びました。サルサだけでなく、レゲトンやサルサ・チョケなど色々なダンスを教えてもらいました。ジャンルごとに踊り方が決まっていて、見よう見まねで体を動かしました。若者向けのクラブで、日付が変わる頃には会場は大勢の歌声が鳴り響き、ものすごい熱気に包まれていました。「ラテンアメリカでは小さいころからダンスをたくさん踊るんだよ!」と一緒に行った友達に教えてもらいました。日本にも盆踊りなどなじみ深いダンスがありますが、レゲトンやサルサは男女で役割分担するという違いに気づきました。私はこういったダンスフロアに来たことはありませんでしたが、思い出に残る素敵な体験になりました。
日本語学校で出会った先生がカリを案内して下さるという事で、カリの観光地をいくつか一緒に見て回りました。まずは市場へ向かいました。サンコチョ・デ・ガジーナという鶏肉が丸々一羽入ったスープをいただきました。見た目のインパクトもさることながら、スープの味も美味しかったです。その後もカリの市街地が一望できるサン・アントニオ公園や、川沿いに置かれた24匹の猫たちに会える猫公園など、カリを一通り堪能しました。
帰りのバスは16時間もかかる長丁場になりました。朝の7時半にカリを出発して、ボゴタに到着したのは翌日未明の1時でした。カリとボゴタの間にはアンデス山脈という5,000m級の山が連なっているため、山あいの町を下ったり登ったりを繰り返して、くねくね道をゆっくりと進んでいくしかありません。予想外だったのは、一本道の峠で先行車両が事故を起こしてしまい、3時間以上峠でバスの身動きが取れなくなってしまったことです。止まってしまった場所がちょうど展望台やお菓子を販売している商店の近くだったのは不幸中の幸いでした。三連休の最終日だったこともあり、最終的に4回ほど別の渋滞にもはまり到着は大幅に遅れましたが、車内では知らない人との会話からコロンビアの料理について教えてもらったりできたので、とても良い経験だったと個人的には思います。